2025 年 10 月 01 日
「Prossione Virtualization®」に関するNTTデータとの協業でのサイバートラストの狙いとは
~KVM の導入・運用時の課題を解決し、システム主権確保と長期安定運用の仮想化基盤を提供~
2025 年 7 月 31 日、サイバートラスト株式会社(以下:サイバートラスト)と株式会社NTTデータ (以下:NTTデータ)は「Prossione Virtualization」※1 の製品強化および長期サポート体制確立に向けた協業を開始しました。また、同日、NTTデータは「Prossione Virtualization 1.0」を提供開始、NTTデータが開催した説明会では、「Prossione Virtualization 1.0」のデモ動画やサービスメニューの紹介のほか、サイバートラストとの連携や今秋提供予定の「Prossione Virtualization 1.0 with Almalinux」についての説明も行われ、サイバートラスト 代表取締役社長の北村 裕司がゲストとして登壇しました。
- ※1
- 「Prossione Virtualization」は 株式会社NTTデータが提供する、KVM を利用した仮想化基盤を管理・運用するためのサービス、および製品群の総称です。
「Prossione Virtualization」は株式会社NTTデータグループの登録商標です。
「Prossione Virtualization」は、Linux の Kernel-based Virtual Machine(KVM)を利用した仮想化基盤の管理・運用サービス。専門的な知識を必要とする KVM の導入・運用時の課題を解決し、自国・自社でコントロール可能なシステム基盤を実現します。

「Prossione Virtualization」について
株式会社NTTデータ 執行役員 テクノロジーコンサルティング事業本部長 新谷 哲也氏は、「Prossione Virtualization」を提供する背景を次のように話します。
「システム主権確保に伴うソフトウェアの透明性確保のため、オープンソースである KVM へのニーズが高まっています。NTTデータは従前より実施している OSS 開発・サポートを支える体制および KVM を活用した案件実績を有します。このノウハウを Prossione Virtualization を通して、多くのお客さまに提供していきます」。

株式会社NTTデータ 執行役員 テクノロジーコンサルティング事業本部長 新谷 哲也氏
NTTデータが提供する「Prossione Virtualization」サービスは、Prossione Virtualization サブスクリプションを中心に、オプションでシステム開発を実施するためのシステムインテグレーションと、活用のためのトレーニングを提供します。

7 月 31 日から提供開始された「Prossione Virtualization」のサービス内容(NTTデータ作成)
新谷氏は、NTTデータが「Prossione Virtualization」を通して目指す姿として、次の 5 つのポイントを指摘します。
- NTTデータでの KVM 運用実績に裏付けされた 製品やサービスの強化
- 中長期にわたる安定利用の実現
- 多様な提供チャネルの実現
- パートナーとの共創による価値強化、エコシステム拡大
- 仮想化基盤でも 選ばれ続ける存在へ
「Prossione Virtualization」の製品概要とロードマップ
株式会社NTTデータ ソリューション事業本部 OSS ソリューション統括部長 濱野 賢一朗氏は、「Prossione Virtualization」の製品概要とロードマップを解説しました。
濱野氏は「Prossione Virtualization は、KVM を利用した仮想化基盤を管理・運用するための製品です。KVM を利用した仮想化基盤を構築・運用する際の困りごとを解決することができます」と製品の概要を説明します。

株式会社NTTデータ ソリューション事業本部 OSS ソリューション統括部長 濱野 賢一朗氏
その特長は、次の 4 点になります。
- ホストサーバー・仮想化マシンの一元管理・・・複数のホストサーバーや仮想マシンを Web 画面にて一元管理し、運用の煩雑さを解消
- 高度な運用作業の実現・・・高度な専門性を必要とする運用を画面から操作可能
- 高可用性構成を標準的に実現・・・ホストサーバー故障時も仮想マシンを自動復旧する機能を提供し、作りこみの手間を解消
- 継続的なソフトウェアアップデート・・・定期的なソフトウェアアップデートによって機能を順次拡張し、より幅広いユースケースに対応可能
「Prossione Virtualization 1.0」の利用イメージは、図のようになります。

濱野氏は「NTTデータは継続的に製品の機能拡充などを実施していきます。2026 年春に提供予定の Prossione Virtualization 2.0 では、仮想マシンの高可用性を実現する機能や既存の仮想化基盤からの移行を支援する機能などを提供します」と今後のロードマップについて明らかにし、「Prossione Virtualization を通して、KVM を利用した仮想化基盤の導入障壁を解消し、システム主権確保と長期的な安定運用を実現します」と話します。

「Prossione Virtualization サブスクリプション with AlmaLinux」は 2025 年秋頃提供開始
2025 年 7 月 31 日時点での Prossione Virtualization を動作させるホストサーバーおよび管理サーバーの対応 OS は Red Hat Enterprise Linux となります。そのため、Red Hat Enterprise Linux サブスクリプションは、利用者が別途調達する必要があります。
そこで 2025 年秋頃から、NTTデータは「Prossione Virtualization サブスクリプション with AlmaLinux」を提供開始します。「Prossione Virtualization サブスクリプション with AlmaLinux」では、サイバートラストとの連携により、AlmaLinux をホストサーバーおよび管理サーバーの対応 OS とします。また、本サブスクリプションには、「Prossione Virtualization サブスクリプション」に加えて、サイバートラストが提供する AlmaLinux OS サポートが同梱されます。

NTTデータとサイバートラストの協業と今後の取り組み
サイバートラストとの協業の狙いについて濱野氏は「サイバートラストの持つ、OSS およびセキュリティに関する技術力を活用し、製品の品質強化およびサポート体制の強化に取り組みます」と説明します。

続いて登壇したサイバートラスト 北村は、NTTデータとの協業に関するサイバートラストの狙いについて、当社が長年に渡り蓄積してきた OSS、セキュリティに関わる知見と技術により、信頼性が高く安全な仮想化基盤、その先にあるデジタル社会基盤を実現することだと話します。

サイバートラスト 代表取締役社長 北村 裕司
安心・安全なデジタル社会の礎となる「デジタルトラスト」を提供するサイバートラストでは、プラットフォームサービスにおける Linux/OSS の開発やサポートにおいて 25 年の実績があります。国産 Linux の MIRACLE LINUX の開発・メンテナンス・サポートをはじめとして、超長期サポートの提供やサーバーから組み込み機器まで幅広く対応してきました。また、多くの OSS コミュニティに貢献、リーダーシップを発揮しています。
例えば、AlmaLinux OS Foundation にはプラチナスポンサーとして参画し、ボードメンバーの輩出や SIG( 分科会 ) の設立、SBOM 機能の開発などソートリーダーとして活動を推進しています。 AlmaLinux をエンタープライズで利用するために、長期間脆弱性メンテナンスと日本語技術サポート、無停止メンテナンスを実現するライブパッチ機能など、高品質なサービスを提供しています。

北村は「サイバートラストが長年培ってきた Linux 技術や OSS コミュニティへの貢献といったノウハウ、セキュテリティに関する高度な技術力を、NTTデータの仮想化基盤への取り組みと連携させることで、日本国内で自国・自社で管理可能な仮想化基盤を実現します。これにより、お客様にとって使い勝手が良く、長期間安定して利用でき、かつセキュリティが担保された IT インフラを構築できます」と語ります。
まとめ
「Prossione Virtualization」は、KVM を活用した仮想化基盤の導入・運用における課題を解決し、システム主権の確保と長期的な安定運用を実現する仮想化基盤を提供します。2025 年秋に提供開始予定の「Prossione Virtualization サブスクリプション with AlmaLinux」では仮想化基盤のホスト OS の選択肢が広がります。さらに、2026 年提供開始予定の Prossione Virtualization 2.0 では、高可用性を実現する機能や既存の仮想化基盤からの移行を支援する機能が盛り込まれます。NTTデータとサイバートラストの連携により、製品の強化、および国内企業向けのサポート体制がさらに強化され、仮想化基盤の新しい選択肢として期待されています。









