2019 年 10 月 23 日
CIP メンバースポットライト: サイバートラスト
本ページは、Civil Infrastructure PlatformTM (CIPTM) のブログに掲載された、CIPメンバーであるサイバートラストをCIPへの貢献を交えて紹介する記事「CIP Member Spotlight: Cybertrust」の日本語訳です。
CIP メンバー スポットライト: サイバートラスト株式会社
Civil Infrastructure Platform (CIP) プロジェクトは次のことを目指しています。Linuxベースの社会インフラシステムの実装を加速すること、既存のオープンソース基盤と専門知識を活用すること、基本レイヤーのリファレンス実装を提供することによりデファクトスタンダードを確立すること、そして、産業的なニーズに関するアップストリームプロジェクトに貢献し影響を与えることです。 CIPは、サイバートラスト株式会社、Codethink、株式会社日立製作所、ぷらっとホーム株式会社、ルネサス エレクトロニクス株式会社、Siemens、Moxa、および株式会社東芝を含む世界有数の社会インフラシステムメーカーかつ業界リーダーが推進しています。
このスポットライトシリーズではCIPメンバーをとりあげて、世界の技術システムに役立つオープンソースソフトウェアソリューションにCIPメンバーがどのように貢献しているかについて紹介します。今回は、最新のメンバーであるサイバートラスト株式会社(以下、サイバートラスト)をハイライトし、副社長であり、CTO、プリンシパル・エバンジェリストを兼務する伊東達雄氏との会話で紹介します。
あなたの会社について教えてください。
サイバートラストは、エンタープライズLinuxオペレーティングシステムを提供する会社であり、安全で信頼性の高い組込み機器とシステムを構築するという取組みを推進しています。当社はお客様が高い安全性を有するIT基盤を構築し管理できるようにお手伝いしています。
当社は、Linux/オープンソースソフトウェア、認証、セキュリティ、IoTを事業ポートフォリオの対象としています。 Linux OSの開発実績を17年以上積み重ねる中で、ミッションクリティカルシステムを多数構築し、サーバーと組込み分野の両方で超長期サポートを提供してきた実績があります。
なぜ、産業グレードソフトウェアのオープンソース「ベースレイヤー」に投資するのですか?
当社はオープンソース、Linux、 組込み領域で経験豊富なエンジニアを多数有し、Linuxカーネルメンテナも複数在籍しています。 Linuxディストリビューターとして、組込みシステム基盤を高度に堅牢かつ安全に支えるベースレイヤーの構築に尽力しています。 ベースレイヤーに投資することで、より安全なエンタープライズLinuxオペレーティングシステムを提供し、より信頼性の高い組込み機器や組込みシステムを構築することができます。
なぜあなたの会社はCIPに参加したのですか?
広く発生する踏み台攻撃問題への対策として、昨夏、米国で超党派立法が提出されました。国が購入するIoTデバイスはパッチ可能であることなど、最低限のセキュリティ要件を満たしている必要がある、というものです。このように、組込み機器は作ったら終わりではなく、確実にサポートしていかないといけない、という認識がお客様にも広がり、結果として、Linuxセキュリティパッチの超長期的な提供が要請されています。
組込み系はサーバー系とは異なり、お客様ごとに個々別々の対応をするのが一般的でした。これでは超長期サポートを実現するにはユーザーにとってもプラットフォームベンダーにとってもコスト増になりリソース問題を生じます。CIPは、超長期サポートを一社単独で対応していくのではなく、コミュニティとして皆で力をあわせて対応することを目指しています。その趣旨に賛同し、CIP入会を決めました。
あなたの会社はCIPでどのような活動を行っていますか?
長期サポート対応レベルを底上げし持続的な対応ができることで、社会全体の安全・安心につながるよう、私たちは貢献していきます。
サイバートラストはCIPで以下の活動を行っています:
- サイバートラストメンバーがCIPカーネルのメンテナを引き継ぐ方向でSLTSカーネルのメンテナンスに貢献
- LTS4.4 / CIP SLTSのSpectre / Meltdown問題への対応(進行中)
- 顧客・パートナー、あるいは各種商業イベントでCIPを宣伝
- 新しいCIPメンバーの勧誘
このソフトウェアをどう活用しますか?
CIPの新しいメンバーとして、私たちはCIPの取り組みに参加できることを大変嬉しく思います。CIP SLTSカーネル、そしてCIP Coreといった産業グレードのオープンソースソフトウェアを私たちの組込みシステム向けディストリビューションの基盤としていきます。 また、CIPのDebian LTSとの新しい協業により、さまざまなユースケースへの対応も推進していきます。
これまでどういうメリットがありましたか、また何を実現していきますか?
CIPメンバーは、グローバル規模で安全で信頼性の高いオープンソース基盤を作成するという同じ目標を達成するために、高い専門性を持って積極的に協力し合っています。 私たちはこれらの重要な課題に力をあわせて対処できると信じています。
20年後の社会インフラシステムはどうなっていると思いますか?
IoTの進展、スマートシティによる利便性の向上、自然災害や環境変化に対する安全で安心な社会の実現に向けて、社会インフラを支える組込み基盤はより広くより深く普及することになると思います。
CIP について
Civil Infrastructure Platform (CIP) は、The Linux Foundation がホストするオープン ソース プロジェクトです。CIP プロジェクトは、産業・社会インフラの安全性や信頼性などの要件を満たす再利用可能なソフトウェア構成要素の使用・実装を実現するために、産業グレード ソフトウェアのオープン ソース基本レイヤ確立に取り組んでいます。
https://www.cip-project.org/