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2023 年 06 月 22 日

ゼロから分かる AlmaLinux

~ CentOS の移行先候補、AlmaLinux とは ~

CentOS の移行先候補として注目されている AlmaLinux。
なぜ AlmaLinux が注目されているのか、AlmaLinux の成り立ちや特長などをご紹介します。

CentOS のサポート終了

Red Hat Enterprise Linux(RHEL) の代表的なクローン OS である CentOS は、安定した実績があり、日本語での情報量も多く、初心者の方から企業システムでの利用まで、幅広く利用されています。
しかし、2020 年 12 月に開発元の CentOS Project より、CentOS 8 の開発を 2021 年 12 月末に終了し、CentOS 9 はリリースせず、今後の開発は CentOS Stream へフォーカスすることが発表されました。CentOS Stream は常にアップデートが行われるローリングリリースモデルを採用しており、最新機能からバグまで含まれる、RHEL の β 版にあたる存在であるため、従来の CentOS と同様に安定した稼働を求めるユーザーには不向きであると言えます。
CentOS Stream については以下の当社技術ブログもご参照ください。

また、2024 年 6 月末には CentOS 7 のメンテナンス更新の終了が予定されているため、従来のすべての CentOS のサポートが終了されることになります。
これは新たな脆弱性が発見されてもセキュリティ修正などを受けられなくなることを意味しているため、CentOS を利用しているシステムは後継 OS への移行を検討する必要があります。

 サポート終了スケジュール

そこで CentOS の移行先候補として名前があがったのが、 RHEL 互換 OS である「AlmaLinux」「RockyLinux」「MIRACLE LINUX」です。

CentOS Stream 以外の選択肢は?

AlmaLinux とは

AlmaLinux は非営利団体である "The AlmaLinux OS Foundation" が運営するコミュニティ主体で開発・提供される Linux OS です。
2020 年 12 月の CentOS Project の発表を受け、同年 12 月 15 日に米国 CloudLinux 社が「Project Lenix」としてスタートし、2021 年 2 月 1 日に AlmaLinux 8.3 β版がリリースされました。翌月末には安定版がリリースされ、CloudLinux 社は AlmaLinux OS Foundation に AlmaLinux のすべての権利を譲渡しました。

AlmaLinux OS Foundation は選挙によって選ばれたボードメンバーを筆頭に、資金提供を行う複数のスポンサーメンバーと開発に貢献する個人 / 団体のメンバーによって運営されています。
ボードメンバーはコミュニティメンバーやスポンサーメンバーから選挙によって選出され、特定の企業の意思に偏ることがなく、議事録も公開されているため、透明性・公平性・継続性の高い運営であると言えます。※1

AlmaLinux の特長

先に述べた通り、AlmaLinux は従来の CentOS と同様に無料でダウンロード・利用ができる RHEL 互換の Linux OS であり、RHEL アプリケーションとの互換性を確保しています。
AlmaLinux の特長としては、「リリース速度」と「SBOM の配布」をあげることができます。

リリース速度

RHEL は通常 3 年~ 5 年でメジャーバージョンアップ、年 2 回程度のマイナーバージョンアップ、随時行われるパッケージ単位のバグフィックスやセキュリティアップデートがあります。AlmaLinux は RHEL 互換 OS であり、 RHEL で公開されたソースコードをビルドし、追従してリリースしています。
AlmaLinux のリリース速度は、他の RHEL 互換 OS と比べて非常に早いです。
たとえば、RHEL 8.4 がリリースされた際には、AlmaLinux はその 8 日後に AlmaLinux 8.4 をリリースしています。Rocky Linux の同バージョンのリリースは 34 日かかっているため、圧倒的な速度であることがわかります。
Rocky Linux もリリース速度は徐々に早くなっていますが、RHEL 9 系 の最新版 9.2 に関しては、AlmaLinux は 0 日と遅延なくリリースしています。

 リリース速度の比較

SBOM の配布

AlmaLinux は、ソフトウェアの構成管理、脆弱性管理に活用することでソフトウェアサプライチェーンの安全性を高めるための仕組みとして注目されている SBOM(Software Bill of Materials) を配布しています。
公開しているビルドシステムの中に SBOM を生成する機能を組み込んでおり、誰でも取得することが可能です。
現在対応しているフォーマットは CycloneDX のみですが、SPDX についても対応予定です。

まとめ

AlmaLinux は透明性が高く公平なコミュニティによって開発されており、多数の企業が支援しているため、プロジェクトとしての継続性が高い Linux OS です。
迅速なリリースサイクルや SBOM が配布されているという点から、セキュリティ対策が重視される企業システムの利用にも適しています。

サイバートラストは 2023 年 5 月 22 日に AlmaLinux OS Foundation に日本企業初のプラチナスポンサーとして参画し、AlmaLinux OS の共同開発を推進することを発表しました。
また、CloudLinux 社と協業し、日本国内法人の AlmaLinux ユーザーを支援する「AlmaLinux OS サポートサービス 」の提供を開始しました。
最長 16 年のパッチ提供と迅速なアップデート、ダウンタイムゼロでセキュリティ対応を実現するライブパッチサービス、日本語での技術サポートなど、安心・安全な AlmaLinux の運用を支援します。

まだ CentOS の移行先をお悩み中の方は、AlmaLinux を検討してみてはいかがでしょうか。

※1
https://almalinux.org/ja/p/membership-committee/

記者発表資料をダウンロードしていただけます

2023/5/22 記者発表資料 安心安全、長期、迅速をすべてのユーザーに提供するサイバートラストの新たな挑戦

" 安心安全、長期、迅速 " をすべてのユーザーに提供するサイバートラストの新たな挑戦

サイバートラストは 2023 年 5 月 22 日に記者会見を行い、AlmaLinux OS Foundation へ参画しコミュニティメンバーとして AlmaLinux OS の共同開発を推進すること、また米国 CloudLinux と協業し長期にわたって継続して迅速なセキュリティアップデートを提供する新たな OSS セキュリティサービスを展開し、国内法人システムにおける安心・安全な Linux 運用を実現することを発表しました。
当日の記者発表資料をダウンロードしてご覧いただけますので、ぜひお申し込みください。

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