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2020 年 10 月 26 日

産業用 PC とは? ~ IoT 時代で再評価 ~

産業用 PC とは

産業 PC とは、特徴的な産業現場のニーズに応えた機能・サービスを組込んだ PC/ サーバー製品のことをさします。このブログでは産業用 PC とはどのようなものなのか、その活用シーンや特長を交えて紹介します。

産業用 PC の活用シーンについて

主に工場や製造装置などで利用される FA(ファクトリーオートメーション)や PA(プロセスオートメーション)向けの用途があります。このほか、医療分野や交通機関、物流・倉庫、ビルなどの設備管理やデジタルサイネージといった分野など、多岐にわたる用途で利用されています。

産業用 PC と IoT

今後、産業用 PC の耐久性や長期供給の特徴を生かして、IoT エッジコンピューティングでの採用も進むとされています。ミック経済研究所の調査報告では 2022 年までに産業用 PC 市場の 21% まで IoT エッジコンピューティングの利用が伸長すると予測されています。

※出典:エッジコンピューティングで拡大する産業用PC市場の現状と展望 【2019年度版】(ミック経済研究所)

産業用 PC は普通の PC と何が違うのか ?

産業用 PC の利用シーンは、工場のシステムや製造装置に合わせて、長期に渡って 24 時間連続稼働を行うケースが多く、設置場所も粉塵の多い環境や振動の多い装置内で活用されることが多いことが特徴です。そのため、一般の PC に比べて以下の機能・サービスを有しています。

  1. 長期供給・長期保守
  2. 24 時間 365 日の連続稼働を前提とした専用設計
  3. 耐環境性能
1. 長期供給・長期保守

産業用途向け製品は「同じものを、長く」供給することが求められ、出荷開始後、最長
5 年の供給期間があり、出荷停止後の最長 10 年出の修理対応期間があります。そのた
め、PC ベンダーは長期供給可能な部品を選定して実装するとともに、生産ライン / 修理
対応の体制を長期にわたって整備しています。

2. 24 時間 365 日の連続稼働を前提とした専用設計

工場のシステムや製造装置が 24 時間連続稼働を行うケースが多いため、産業用 PC も 24 時
間連続稼働が求められます。そのため、それを実現するために長寿命部品の採用や、装
置を止めないための仕掛け (HDD/SSD の RAID 機能やホットスワップ交換機構 )、万一の保
守交換時に ダウンタイムを最小に抑えるための前面交換機構などを備えています。ま
た、RAS 機能による装置の状態監視を実施し、異常があれば管理者にアラームを出す機
能を有しています。

3. 耐環境性能

産業用 PC はサーバールームのようなクリーンな環境に設置されず、粉塵の多い環境や振動の多い装置内、屋外のデジタルサイネージなどの環境で活用されることが多いため、その環境に耐えられる耐環境性能が必要になります。そのため、動作保証温度範囲が一般の PC に比べて広く、防塵フィルタによる防塵対策や、物によっては防水対応を考慮したものも存在します。

産業用 PC 向けの OS 使用状況について

長期保守対応の産業用 PC で使用されている OS は、2019 年度の実態調査 (※ミック経済研究所調べ ) では、Windows プリインストール版は全体の約 87%、Linux プリインストール版は約 5%、OS 非搭載モデルが残りの約 8% と報告されています。OS 非搭載モデルは、ユーザー側で独自に OS をインストールするものですが、その大部分が CentOS などの Linux をインストールしていると推定され、OS 非搭載モデルを Linux に含めると Linux の搭載比率は全体の約 13% と推定されています。
この調査結果より、Windows OS を利用した産業用 PC は、長期供給という特長を活かして幅広い領域で活用されていることが分かります。一方、Linux OS は水処理システム、受変電システム、道路交通管システム、消防・防災システム、鉄道システム、航空管制システムなどの社会インフラ分野で使用されるケースが多いという調査結果になっています。これらの領域で使用される産業用 PC の場合、不具合が生じた時の原因究明が OS レベルで解析が必要とされるため、Linux が選択される割合が 70% を占めています 。

産業用 PC に必要な OS の機能とはなにか

産業用 PC は上述の通り、「同じものを、長く」使用するため、長期間の安定稼働と長期サポートが求められます。
また、ハードウェアの安定稼働が行えていても、OS やアプリケーションがストールしてしまうとシステムとしての連続稼働ができなくなってしまうため、OS やアプリケーションの稼働を監視し、異常があった場合にそれを速やかに復旧するような OS レベルでの可用性も重要です。特に社会インフラ分野では、交通系システムでは故障によって人命に関わるケースや、製造業ではわずかなダウンタイムが大きな操業損につながるなどのリスクがあり、社会インフラ向け産業用 PC では OS/ アプリケーション領域で可用性を実現する機能も求められています。

「MIRACLE LINUX」、「MIRACLE LINUX HA」について

サイバートラストの「MIRACLE LINUX」は、10 年にわたるロングライフサポートを標準提供し、お客様の業務やサービスの長期安定稼働を支援しております。国内市場ではその実績をお客様に評価頂き、産業用 Linux OS シェアで No1 を獲得しています ※1
また、「MIRACLE LINUX」に HA 機能を備えた「MIRACLE LINUX HA」は、OS やアプリケーションのストール障害を検出し、サービス再起動で業務を継続させます。また、産業用 PC の RAS 機能 ※2 と連携し、ハードウェア障害の予防にも効果を発揮します。

※1
https://www.cybertrust.co.jp/miracle-linux/industrial-pc/
※2
RAS 機能とは:「Reliability、Availability、Serviceability」の頭文字で、信頼性、可用性、保守性を向上するための機能のこと。具体的には、FAN や温度、HDD などのハードウェアの異常を早期に検知し、システム障害を未然に防ぐ機能。

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