2021 年 07 月 20 日
Zabbix の便利な機能 LLD を活用して監視設定を自動化しよう
はじめに
Zabbix、MIRACLE ZBX でシステム監視を行っているみなさん、「LLD : ローレベルディスカバリ」を活用していますか?今回の記事では Zabbix に標準搭載されている便利な機能 LLD について紹介・解説します。
ご存知のとおり、仮想化やコンテナの発展・普及により、昨今の IT インフラは構成ホスト台数が増加する傾向にあります。そのため監視設定を省力化することがますます重要になり、「設定自動化」が有益な手段となってきます。
Zabbix には古くから LLD という監視設定の自動化機能が搭載されています。既にバリバリ活用されているケースも少なくないと思いますが、今回改めて紹介・解説しますので、ぜひ便利機能 LLD をお試しください!
「LLD : ローレベルディスカバリ」とは?
まず LLD とは何でしょうか。一言で表現すると
「アイテムやトリガーなどを必要に応じて自動的に登録する機能」
です。
例えば、、、
構成の違うホスト
監視対象ホストAとBがあったときに、それぞれにディスク(パーティーション)が幾つかマウントされていて、ネットワークインタフェースが搭載されていて、ホストAとBでそれらの数は同じではないとします。もしホストAもBも OS が同じ Linux であったなら、基本的な監視アイテムキーの内容は同じになるでしょう。ただしマウントポイントの数が違う。ネットワークインタフェースの数が違う。この場合、シンプルに考えると、監視設定はテンプレート化できず個別設定になってしまいますが、LLD を利用すると共通化することが出来ます。
前述の「必要に応じて」というのは、上記の例で言えば、ホストA/Bそれぞれ実在するマウントポイントやネットワークインタフェースに応じて、ということです。
実は Zabbix 標準テンプレートでは LLD が利用されています。ですので、多くのユーザーの皆さんは既に LLD の恩恵に預かっている可能性が高いのです。
テンプレート名 | LLD 名 |
---|---|
Template OS Linux | Mounted filesystem discovery Network interface discovery |
Template SNMP Device | Network interfaces |
LLD を活用している標準テンプレートの例
標準テンプレートを利用して監視すると、基本的な監視項目であるディスク監視とネットワーク監視が自動的に漏らさず実施されるのです。
自動的に監視する ≒ 漏らさず監視する
ところで LLD のメリットとして、主に数量についてのホスト毎の違いを吸収し自動的に監視してくれる、という点に着目しがちですが、このことは「実在するものを漏らさず監視する」と解釈することもできます。
つまり、設定漏れなどという初歩的だけれども起こってしまいがちな人為的ミスを防止できるわけです。
監視の設定をする人と、ホストの構築をする人が別々である場合は少なくないと思います。ある時点で監視設定が完了したと思っても、ホストの構成が後日変更にならないとは限りません。特にクラウド的発想では、ディスクにしろネットワークインタフェースにしろ、気軽に追加・削除できてしまいます。LLD を利用する監視設定になっていれば、そういった変更を手作業で監視設定に反映させなくても済むようになります。
自動的に監視する ≒ ホスト内の構成を随時変更可能になる
ですので、もう1つ、自動的に監視できることがもたらすメリットとして、ホスト内のディスクやネットワークインタフェースなどの構成をホストの構築をする人が自由なタイミングで変更することが可能になる、という側面があるわけです。
計画を作って伺いを立てて(「今すぐ」ではない未来に)スケジュールされて・・・という行程を経ずに作業が先に進められるという強みは、クラウド時代において重要であることは間違いないでしょう。
LLD を使おう!
さぁ、LLD を使いたくなってきましたよね?
今回のまとめ
- LLD は Zabbix の代表的な監視設定の自動化機能
- ホスト毎の実態に応じてアイテムやトリガーを自動登録してくれる
- ホスト内の構成が事前に fix しない状況でも漏れなく監視できる
- もちろん後々の構成変更にも追従してくれる
次回以降、具体的に LLD を使うための情報をこのブログで展開していきます。ご期待ください。
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