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サイバートラスト 製品サービス 導入事例

1 万台を超える仮想サーバー利用中の CentOS 開発終了。ソフトバンクの決断は、MIRACLE LINUX の採用!

事例企業: ソフトバンク株式会社

業種:ソフトウェア・情報通信・IT   規模:1万人以上

事例カテゴリ:長期サポートサーバーセキュリティ

目的: CentOS の代替に RHEL 互換の国産 Linux を採用し、コスト最適化と大きな安心を実現

採用製品: MIRACLE LINUX MIRACLE LINUX ウェブサイト

導入前の課題

2020 年 12 月 8 日、CentOS Project が CentOS Linux 8 の開発を 2021 年末に終了すると発表した。当時ソフトバンクは、1 万台超えの仮想サーバーと、年間 1,000 台以上増える新規仮想サーバーの標準 OS として CentOS を採用しており、CentOS の代替となる次期 OS の選定に迫られていた。 選定の際に重視したポイントをすべて満たす Linux が見つからない中、既存の CentOS のサポートを依頼していたサイバートラストから「MIRACLE LINUX」の提案があった。

導入の目的・解決手段

提案当時の MIRACLE LINUX は有償で、RHEL とパッケージ名やバージョンなどに違いがあったものの、商標の部分以外は CentOS Linux 8 とパッケージ名もバージョンも同じである互換性を実現し、かつライセンス費用を無償で提供するという提案を受け、ファーストユーザーとして採用を決定した。 当インフラ統括部が標準インフラで提供する各社製品の認証取得を 2021 年 7 月までに完了したことを受け、MIRACLE LINUX を使って各社製品や自動構築などの動作検証を実施した。

導入効果

検証を通じてサイバートラストの Linux エンジニアの高いスキルを改めて認識し、国内の Linux ディストリビューターならではの迅速かつきめ細かい対応が大きな安心に繋がっている。 ライセンス費用が無償になった MIRACLE LINUX を利用することで、CentOS を使っていたときと同様に、現在から将来に向けてコストの最適化が図れることと、10 年を超える長期サポートも重要なポイントとして評価している。

―国産ディストリビューターの RHEL 互換 Linux OS を CentOS の受け皿に―

2020 年 12 月 8 日、CentOS Project が CentOS Linux 8 の開発を 2021 年末に終了すると発表した。突然の発表は、無償で利用できる RHEL (Red Hat Enterprise Linux) クローンの CentOS を利用している多くの日本企業に衝撃を与えた。1 万台超えの仮想サーバーと、年間 1,000 台以上増える新規仮想サーバーの標準 OS として CentOS を採用していたソフトバンクも例外ではない。テクノロジーカンパニーを目指す同社が CentOS の代替として採用したのは、2000 年から企業向け Linux ディストリビューションの提供実績をもつサイバートラストの最新 Linux OS「MIRACLE LINUX 8.4」だ。ソフトバンクが次期 OS の選定で重視した 4 つのポイントとは? 2021 年 10 月から MIRACLE LINUX を採用した IT インフラの提供が開始。一大プロジェクトの舞台裏を追った。

1 万台超えの仮想サーバーに採用していた CentOS が開発終了に

1981 年に開始したパソコン用パッケージソフトの流通事業がソフトバンクの出発点だ。ターニングポイントとなったのは、2004 年の固定通信事業、2006 年の移動通信事業への参入である。現在、ソフトバンクは 5G の取り組みを通じて通信事業を強化しながら、通信以外の領域拡大を目指す「Beyond Carrier」戦略を掲げ、「総合デジタルプラットフォーマー」として新たな成長ステージに入っている。
この 40 年間で大きく変貌を遂げたソフトバンクだが、「情報革命で人々を幸せに」という経営理念と、果敢に挑戦するベンチャー精神は創業以来、今も変わることはない。

「社会で最も必要とされるテクノロジーカンパニー」を目指すソフトバンクは、通信事業を基盤に、様々な産業分野で革新的なサービスを創出している。ソフトバンクの多様なサービスや業務を IT で支えているのが、同社のコーポレート IT 本部である。その役割について、コーポレート IT 本部 IT インフラ統括部 統括部長 種邑宏平氏は話す。

「基幹システムや業務システムはもとより、コールセンターやソフトバンクショップ、グループ会社との連携など様々なビジネスを支援するシステムを開発しているのが IT 本部です。その中で、IT インフラ統括部は、システムを動かすインフラを提供しています。大規模な要求に対しても必要なときに素早く応えるために、社内のオンプレミスとクラウドを連携したハイブリッドクラウド基盤を構築しています。また、開発者の生産性向上を図るべく、インフラの自動構築や、システムの設定・管理を自動化するオーケストレーター機能などの開発も行っています」

 コーポレート IT 本部 IT インフラ統括部 統括部長 種邑宏平氏

コーポレート IT 本部 IT インフラ統括部
統括部長 種邑宏平氏

インフラ統括部では、システム開発者に対し 1 万台を超える仮想サーバーを提供。さらに毎年新しい仮想サーバーが 1,000 台以上も増加するという。従来、仮想サーバーの OS には、標準インフラとして無償の CentOS を採用し、標準以外のインフラに有償版の Linux を適用していた。CentOS は、実績のある有償ディストリビューションの RHEL(Red Hat Enterprise Linux) のクローン Linux で無償で利用可能だ。無償に加え、安定動作や長期間の修正パッチ更新を求める企業に広く利用されてきた。ところが 2020 年 12 月、CentOS Project から 2021 年 12 月末をもって CentOS Linux 8 の開発とサポートを終了し、CentOS Stream の開発へフォーカスするとの突然の発表があり、CentOS を利用している企業に衝撃が走った。ソフトバンクも例外ではなかった。

CentOS の代替となる次期 Linux OS の選定で重視した 4 つのポイント

2021 年 12 月末のサポート終了まで時間的に余裕がなかったことから、標準インフラとして提供していた CentOS の代替となる次期 Linux OS の選定にすぐに入ったと種邑氏は話し、選定の際に重視した 4 つのポイントを説明した。

  1. RHEL 互換
    OS を変更してもシステム開発及び IT 運用側に影響が出ないように、CentOS と同様に使える RHEL 互換 Linux OS であること。
  2. 長期メンテナンスと技術サポート
    長期間使い続けるシステムもあるため、10 年間の長期メンテナンスと技術支援は必須。
  3. ライセンス無償
    インフラとして提供している仮想サーバーは台数が多く、今後も増え続けることから、OS の有償ライセンスを採用した場合のコスト増大は大きな課題となる。ライセンス無償によるコスト最適化が不可欠。
  4. 標準インフラで提供している各社製品の認証の取得
    サーバー、ハイパーバイザー、セキュリティ製品、データベース、ミドルウェア、運用監視ツール、スケジューラーなど標準インフラで提供している各社製品の認証取得は基本条件。

4 つのポイントを満たす製品がなかなか見つからない中、IT インフラ統括部に対して既存の CentOS のサポートを依頼していたサイバートラストから次期 Linux の代替として「MIRACLE LINUX」の提案があったという。MIRACLE LINUX は、国内唯一の企業向け Linux ディストリビューターであるサイバートラストが 2001 年より開発し提供している企業向け Linux だ。

「MIRACLE LINUX も選択肢の 1 つでした。しかし、提案当時は有償であり、RHEL 互換としてパッケージ名やバージョンなどに若干の違和感がありました。サイバートラストから、2021 年 10 月にリリースする MIRACLE LINUX 最新版は、CentOS の受け皿となるべく、商標の部分以外は、CentOS Linux 8 とパッケージ名もバージョンも同じ互換性を実現し、なおかつライセンス無償で提供するというお話がありました。サイバートラストの提案は、ファーストユーザーとして先行導入をしないかというものでした」( 種邑氏 )

テクノロジーカンパニーを目指すソフトバンクにおいて、IT インフラ統括部は最先端テクノロジーをいち早く導入することを強く意識しインフラ基盤の開発を行っていると種邑氏は強調する。「CentOS の受け皿となる国産 Linux OS という、まだ誰も踏み入れていない技術領域に挑むのは、IT インフラ統括部のチャレンジ精神を大いに刺激しました。また、CentOS の技術サポートをお願いしていたことから、サイバートラストの Linux エンジニアの高い技術力は評価しており、一緒に“やりきる”ことができると思いました」

2021 年 4 月、コーポレート IT 本部では、次期 Linux OS として MIRACLE LINUX 最新版を選定し検証を開始していくという方針を立てた。

MIRACLE LINUX 最新版の長期サポートは 10 年、コスト最適化と大きな安心を実現

CentOS のメンテナンスが終了する 2021 年 12 月末を視野に入れ、次期 Linux OS として MIRACLE LINUX 最新版の提供開始を 2021 年 10 月に設定。サイバートラストは、VMware ESXi の認証をはじめ、認証取得に取り組み、2021 年 7 月までにインフラ統括部が標準インフラで提供する各社製品の認証取得を完了した。それを受け、IT インフラ統括部は MIRACLE LINUX を使って各社製品や自動構築などの動作検証を実施。

検証は、MIRACLE LINUX 最新版リリース前の先行導入だったため調整が大変だったと、テクノロジーユニット コーポレート IT 本部 IT インフラ統括部 IT インフラ部 IT インフラ 2 課 担当課長 岩村英男氏は話す。「検証時には、MIRACLE LINUX 最新版はまだ開発中だったため、リリースされる内容を反映してもらう必要がありました。またコロナ禍で、サイバートラストも含め社内関連部署とのミーティングも、迅速にレスポンスできるコミュニケーションツールを使ってオンラインで行いました」

 テクノロジーユニット コーポレート IT 本部 IT インフラ統括部 IT インフラ部 IT インフラ 2 課 担当課長 岩村英男氏

テクノロジーユニット コーポレート IT 本部
IT インフラ統括部 IT インフラ部
IT インフラ 2 課 担当課長 岩村英男氏

検証を通じて、サイバートラストの Linux エンジニアが有するスキルの高さを改めて認識したと岩村氏は話す。「検証を進める中で、問題が起きた際もサイバートラストのエンジニアのアドバイスですぐに解決できました。Linux に対する知見とノウハウを持つエンジニアのサポートにより、短期間で確実な検証作業が行えました。国内の Linux ディストリビューターならではの迅速かつきめ細かい対応は、大きな安心に繋がっています」

現在、次期 Linux OS への切り替えプロジェクトは、2021 年 10 月のサービス開始に向けて順調に進んでいる。導入効果について、「目に見えてわかるのがコストです」と種邑氏は話す。「ライセンスが無償になった MIRACLE LINUX を利用することで、CentOS を使っていたときと同様に、現在から将来に向けてコストの最適化が図れます」

安心して使い続けるためには、長期サポートも重要なポイントとなる。「MIRACLE LINUX 最新版の長期サポートは 10 年です。既存の MIRACLE LINUX は、産業機器向けに超長期サポートを行っており、必要に応じて相談にのってもらえると考えています」( 岩村氏 )

今後の展望について種邑氏は「2021 年 10 月からシステム開発の要求に対し、MIRACLE LINUX 最新版を採用した開発環境を提供し、その後、商用環境の提供に向けて構築試験に入ります。CentOS から MIRACLE LINUX 最新版に切り替えても、何も変わらずシステム開発が進んでいくというのが、今後の重要テーマです。サイバートラストには、システム開発者からの問い合わせに対し、迅速かつ丁寧な対応による安心感の醸成をお願いします」と話し、こう続ける。

「今後、標準以外のインフラで利用している有償の Linux はもとより、コンテナのプラットフォームなどの有償製品を置き換えてさらなるコストの抑制を図るべく、MIRACLE LINUX の認証製品対象の拡大や機能強化を期待しています。また先行導入した当社としては、今回のプロジェクトが日本産業の活性化に寄与する布石となることを願っています」

2021 年 10 月、MIRACLE LINUX 最新版のリリース時には、クラウドサービスの Azure と AWS のマーケットプレイスからも無償で利用可能となる。MIRACLE LINUX 最新版は、CentOS を採用している多くの日本企業に対し、受け皿として新たな選択肢を提供し、日本企業の成長とともに歩んでいく。

 種邑氏と岩村氏

出典:日経 xTECH Special(2021年10月25日公開)

※ 記事中の情報は、掲載時点のものです。

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ソフトバンク株式会社
ソフトバンク(東証 1 部:9434)は、「情報革命で人々を幸せに」というソフトバンクグループの経営理念の下、ライフスタイルやワークスタイルに変革をもたらす、さまざまな通信サービスやソリューションを提供しています。スマートフォンを中心とした魅力的なサービスや 5G ネットワークで通信事業を強化するとともに、AI や IoT、ビッグデータなどの活用や、グローバルに事業を展開するグループのテクノロジー企業群とのコラボレーションにより、革新的な新規事業を創出し、さらなる事業成長を目指しています。 詳細はウェブサイト(https://www.softbank.jp/corp/)をご覧ください。
キーワード

CentOS,RHEL互換,Linux,無償,MIRACLE LINUX,ソフトバンク,SoftBank

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