STB の配信用サーバーに採用されたバックアップ/リカバリソリューション MIRACLE System Savior
事例企業: 株式会社トランザス
目的: セットトップボックスの配信用サーバーのバックアップ/リカバリ
導入前の課題
配信用サーバーに不具合が発生すると、その場で初期化を実行できるエンジニアがいない場合は代替品を用意して製品を返送してもらい、本社で不具合を調査するという手法を取ることもあり、対応に時間がかかっていた
導入の目的・解決手段
システムバックアップに特化して機能を絞り、シンプルで迷わないインターフェースの MIRACLE System Savior により、現場の担当者でも簡単に復旧可能に
導入効果
現場でのシステムバックアップ/リカバリが可能になり、お客様のサービス停止時間を最小限にとどめ高いサービスレベルを提供
高いサービスレベルを求めるお客様により安心感のあるシステムを提供
1995 年 1 月に創業したトランザスは、IP セットトップボックス(STB)やデジタルサイネージの開発から製造、販売までを手がけるとともに、IP 放送サーバーおよびコンテンツ配信システムの構築、さらにはその周辺ソリューションを提供する企業です。2008 年には世界初の立体裸眼 3D テレビ対応型 STB を開発し、2010 年にはマルチスクリーン連動サイネージで 100 台の連動表示に成功するなど、着実に中核となる事業を拡大。STB 内蔵の超薄型デジタルサイネージ「アクティブポスター」の出荷台数は販売開始 3 カ月で 1000 台を突破したほか、ホテルのビデオオンデマンド向け STB の出荷台数が累計 10 万台以上にのぼっています。
その CMS/映像配信用サーバー(以下、配信用サーバー)のバックアップ/リカバリソリューションとして採用されたのが、サイバートラスト(旧ミラクル・リナックス)のシステムバックアップソリューション「MIRACLE System Savior」です。同社の配信用サーバーはすでに冗長化されているものの、万が一の障害時には迅速な対応が必要です。MIRACLE System Savior が搭載されていることで、サーバーの初期化が簡素化され、現場で担当者が直接トラブル対応することも可能になりました。高いサービスレベルを求めるお客様に対し、MIRACLE System Savior はより安心してシステムを使っていただける「保険」の役割を果たしています。
背景:サーバーの不具合に対応する時間を大幅に削減できるソリューション
STB と配信用 IA サーバーをパッケージ化して販売するトランザスでは、配信用サーバーに不具合が発生した場合、対応に時間がかかるという課題を抱えていました。ハードウェアにはエラーがつきもの。その場でサーバーの初期化を実行できるエンジニアがいない場合は代替品を用意して製品を返送してもらい、本社で不具合を調査するという手法を取ることもありました。何とか簡単にサーバーを初期化する方法がないかと検討した結果、たどり着いたのが MIRACLE System Savior です。同ソリューションを使えば、担当者がその場でシステムを納品時の状態に戻すことも可能です。
選定の理由:シンプルなインターフェースで現場担当者でも復旧可能
MIRACLE System Savior を選択したのは、価格はもちろんその使いやすさ。システムバックアップに特化して機能を絞った同ソリューションには、シンプルで迷わないインターフェースが採用されており、またオフラインで手順もシンプルなため現場の担当者でも簡単に操作できるようになっています。トランザスでは独自の復旧手順書を用意し、担当者が手順書を見て簡単にシステムを初期化できるよう準備しています。これにより、お客様がハードウェアを返送する手間もなくなり、サービスが止まる時間を最小限にとどめられます。
効果:より信頼性の高いシステムを実現すると共に、コストも削減
サーバーの冗長化に加え、最終手段として現場でのシステムバックアップ/リカバリが可能となったことで、信頼性はより高まりました。MIRACLE System Savior を搭載したシステムは、高いサービスレベルを求めるお客様でも安心してお使いいただけます。トランザスの配信用サーバーは、万が一のことが起こってもその場で簡単に復旧可能なシステムへと生まれ変わったのです。また、さまざまな OS に対応している MIRACLE System Savior では、バックアップ先に Windows OS の共有フォルダが利用できるため、外部ストレージを用意する必要がなくなりました。これにより、コスト削減も同時に実現できました。
お客様のサービス停止時間を最小限にとどめたい
「配信用サーバーを安心して使ってもらうため、お客様にはこれまでにもサーバーの冗長化を提案していましたが、ハードウェアの障害時には代替品を用意してサーバーを返送してもらうこともあり、その時間のロスが課題になっていました」と、プロダクト営業部の中島稔氏は語ります。「現場でも簡単にサーバーが初期化できる手段として、MIRACLE System Savior を採用することに決めました。同ソリューションが搭載されることで、お客様のサービス停止時間が最小限にとどめられます」(中島氏)
実際に MIRACLE System Savior を利用するのは「万が一の障害」が起こった時であるため、「利用しないに越したことはない」と中島氏は述べていますが、「高いサービスレベルを求めていらっしゃるお客様でも、いつでも簡単にサーバーを出荷時の状況に戻せるという保険がついていることで安心してお使いいただけます」といいます。
MIRACLE System Savior は、シンプルなインターフェースを採用し、ケーブルの抜き差しや設定の変更をすることなくバックアップが可能です。エージェントレスのため、バージョンアップも不要でメンテナンスフリー。このように、誰もが簡単に使いこなせることも、この製品を選択する際のポイントになったといいます。
「現場で操作する人は、技術的な専門知識を持っているとは限りません。担当者レベルでも簡単な手順で操作できる MIRACLE System Savior は、われわれが提供できるバックアップ/リカバリの手法としてはまさに最適な製品でした」と中島氏は話しています。
多様な環境に対応したソリューションで今後の用途の広がりに期待
導入自体はスムーズだったとプロダクト技術部 課長の大須賀純一氏は語ります。唯一導入時に戸惑ったことは、導入当初の最新サーバー(HPE ProLiant Gen8 v2 サーバー※)に当時の MIRACLE System Savior が未対応だったこと。しかし、「すぐにパッチを送ってもらうなど、迅速に対応してもらえましたし、それ以外では特に問題なく導入できました」と大須賀氏は述べています。
「バックアップ先として Windows OS の共有フォルダが選べることも、このシステムのメリットです」と大須賀氏。配信用サーバーでは、Linux システムのバックアップとして外部ストレージの NFS ファイルサーバーにデータを置くことが多かったのですが、「本プロジェクトの中で導入した CMS サーバー操作用 Windows システムにてバックアップが可能なため、外部ストレージが必要なくコスト削減にもつながります」としています。
今回トランザスが配信用サーバーに導入した Linux 環境はもちろん、MIRACLE System Savior は Windows や VMware、Xen Server、KVM など、マルチプラットフォームに対応しています。このことから大須賀氏は、「過去に構築した社内の Windows Server でバックアップ対策を検討しているものがあるため、今後は社内システムでも MIRACLE System Savior を展開したい」また、社内だけでなく「似たようなプロジェクトがあればお客様のシステムに対しても同ソリューションを使ったバックアップ/リカバリシステムを提案していきたいですね」と話します。
さまざまな環境に対応している MIRACLE System Savior を活用し、「今後さらに幅広い使い方を検討していきたい」と、大須賀氏は期待を寄せています。
※「MIRACLE System Savior Version 2 Release 4」より、「HPE ProLiant Gen8 v2 サーバーシリーズ」に対応しています。