トップインタビュー
TOP INTERVIEW
9期連続で増益増収
課題への解決策は明確となり、
今後の成長への準備は万全
代表取締役社長 兼 CEO
北村裕司
2024年3月期の業績を振り返って
当初計画は未達となるものの、前期比増収増益を継続、収益力は高水準を維持
大規模案件にも対応できる体制づくりを進めています。
2024年3月期は、売上高は前期比4.8%増の6,466百万円、営業利益は前期比5.5%増の1,112百万円と9期連続での増収増益となりました。リカーリング売上高比率は65.4%と過去最高となり着実に収益力を高めています。
なかでも当社の売上高の半分以上を占める認証・セキュリティサービスは前期比二桁増収と大きく伸長しています。安定高収益サービスのサーバー証明書、デバイスIDは堅調に推移し、サーバー証明書では国内EVサーバー証明書市場枚数シェアで7年連続No. 1となりました。また、銀行の口座開設、自治体の給付金申請などのデジタル化に伴い本人確認ニーズが高まり、そのニーズに貢献できる当社のiTrustが高成長を牽引しています。
一方、Linux/OSSサービスとIoTサービスは前期比減となりました。Linux/OSSサービスは、2024年6月末にCentOS 7のコミュニティサポートが終了のため、早期に有償での延長サポート提供に向け動きだしたのですが、一部で販促活動が遅れたことや特殊な要因による新規大型案件の失注が原因で計画を下回る結果になりました。また、IoTサービスは協業パートナーの開拓が遅れたために、お客様のニーズに対応しきれなかったという事象が発生しました。これら2つのサービスの課題については、既に対策を講じ、大手企業との協業を含めお客様のニーズに対応できる体制づくりを進めております。振り返ると2024年3月期はこれからの躍進に向けての課題が明確になったことも大きな収穫であると考えています。
2025年3月期の予想について
DXのさらなる進展と安全基準や法規制への
意識が高まり事業環境はポジティブ
売上高、営業利益ともに
前期比二桁成長を目指します。
2025年3月期は、売上高は前期比11.3%増の72億円、営業利益は前期比16.9%増の13億円と、ともに前期比二桁成長を予想しています。成長投資は継続して行っており、高成長牽引サービスである認証・セキュリティサービスのiTrustに加えてLinux/OSSサービスが成長を牽引します。2024年3月期は計画に到達できなかった反省をふまえ、全てのサービスにおいて確度の高い予想数値としております。
デジタル社会での本人確認の厳格化が進む中で、認証サービスはますます求められていきます。当社は日本国内で認証サービスを20年以上提供し続けている実績があり、引き続き成長を見込んでいます。
Linux/OSSサービスは、CentOS 7のコミュニティサポート終了を機に、延長サポートを希望するお客様をしっかりと取り込んでいきます。過去CentOS 6のサポート終了時、延長サポート需要により当社の売上高は大きく増加しました。CentOS 7のユーザー数はCentOS 6のユーザー数の3倍というデータもあり、現在当社への問合せは4倍増、うち7割が新規顧客からの問合せとなっています。そのため今回も売上高増につながる大きなチャンスと捉え、2025年3月期は前期比約20%増の売上を見込んでいます。また、CentOS 7延長サポート提供後の次の成長も見据えて、その後継OSとして有力視される国際標準OSのAlmaLinuxの提供体制も整備しています。AlmaLinuxの普及は当社の今後のビジネスチャンス拡大につながる重要な分野と認識しています。
IoTサービスは、経済安全保障に関わる基準・法規制対応を背景に、お客様の関心やニーズが高まっています。国内の主要な産業である製造業については、海外への輸出において、対象国や対象地域の安全基準やコンプライアンスの観点から対応が急務となっています。2024年1月から3月の間にお客様向け基準・法規制対応セミナーを開催したところ、参加者数が以前と比べて10倍以上となり、引き合いも3倍になるなど、以前とは状況が変わってきていると感じています。
このようなDXの進展や安全基準・法規制への対応といった世の中の潮流において、ますます重要性が高まり、当社の強みでもあるトラストサービス事業にしっかりと取り組みます。また、大型案件にも対応できるよう協業パートナーと共に顧客の獲得を積極的に進めてまいります。販促や営業活動については、自社単独ではなくパートナー企業と協業してパートナーネットワークを使うことで、効率的かつ効果的にお客様に対応し、営業利益率18%台を計画しています。そして、さらなるデジタル化に伴い事業環境はポジティブであり、全てのサービスにおいて追い風が吹いております。
株主還元策について
2025年3月期の期初配当予想は、2024年3月期と同額の1株あたり17円50銭を予定しています。2024年3月期の業績は当初予想に対しては未達となりましたが、一時的な要因でもあり、すでに対策を講じ、事業は継続して安定しております。配当も安定的かつ継続的に実施していくという基本方針を今後も守っていきます。
株主様へのメッセージ
OSというデジタル世界に欠かすことのできない共通インフラに関わる基幹技術を有している強みと
20年以上の実績を有する認証・セキュリティサービスを軸にデジタル社会に欠かせない
トラストサービス事業で社会に貢献。株主の皆様に還元していきます。
世の中のセキュリティ分野は非常に幅が広いのですが、当社の認証・セキュリティサービスは、専門性が高く参入も容易ではありません。その分野において当社は日本国内で20年以上の実績を有するリーディングカンパニーです。また、アプリケーションを開発している企業は多くいますが、OSというデジタル世界に欠かすことのできない共通インフラに関わる事業を展開している企業も多くはありません。今後のデジタル社会において重要性が増すOSや認証といったインフラにフォーカスした、そもそも数が少ない企業であり、その分野におけるメーカーとしての技術力と実績が強みです。また、デジタル社会の進展と経済安全保障の観点からもITにおける基幹技術であり、重要性の高いOSや認証といったインフラを日本企業である当社が保有し続けることの社会的意義は大きいと考えています。
当社は「安心・安全なデジタル社会の実現」というパーパス、「すべてのヒト、モノ、コトに信頼を」というミッションを掲げて事業を展開しております。これからもデジタル社会で、皆様にデジタルの利益を享受していただくために、当社が提供するサービスは必要不可欠です。社会のために事業を行い、株主の皆様に配当をする、その循環を通してともに安全なデジタル社会を実現に貢献してまいります。当社の今後に引き続きご期待ください。
数字で見るサイバートラスト
TOPICS
リカーリングサービス売上高比率
65.4%
(2024年3月期時点)
これは取引形態別売上高における
リカーリングサービス売上高の比率です。
当社には、リカーリングサービス、ライセンスサービス、
プロフェッショナルサービスの
3つのビジネスモデルがありますが、
使えば使うほど継続的に利益が増加する
リカーリング型収益モデルが全体の65.4%を占めています。
iTrustトランザクション件数
2年間で
約3.5倍
認証・セキュリティサービスは当社の主な事業であり高成長が期待できる分野です。
収益を牽引するKPIはトランザクション数。
トランザクション数の増加が当社の収益増につながります。
特定自治体での給付金申請に伴うマイナンバーカードを用いた本人確認に加え、大手銀行での口座開設時の本人確認にもiTrustのサービスを使用していただく機会も増えてきました。
各府省庁は25年までに 全ての申請の電子化を目指しています。それに伴い本人確認厳格化の流れがあり、今後も当社サービスの利用頻度が加速し、トランザクション数のさらなる増加が見込まれます。