2026 年 08 月 06 日
Interop 2026 Cybertrust Day イベントレポート~中編~
2026 年 6 月 12 日に Interop 2026 にて「Interop 2026 Cybertrust Day」と題してサイバートラストおよびパートナー企業から「信頼をどう担保し続けるか」というセキュリティ全般に関する企画講演が行われました。本ブログは中編となります。
前編はこちらからご覧ください。
各講演動画は、本レポート末尾に記載の「オンデマンド配信」ページよりご覧いただけます。

Interop の来場者は 3 日間で 14 万人を超え、サイバートラストのセミナー会場には 529 人がセミナーに足を運びました。
3. サーバーが買えない時代に放置できない EOL 問題、戦略的な「時間稼ぎ」という選択肢
次の講演は、二つに分かれており、前半はサイバートラストの野口 諒子様による CentOS EOL からの AlmaLinux のお話、後半は電算システムの北田 博保様による、SIer 側から見た Linux などの OSS の EOL の問題と、それを戦略的にどのように「時間稼ぎ」していくかというお話でした。
3.1 OS の EOL 問題と AlmaLinux の脆弱性対応について(サイバートラスト)
まず、サイバートラストが実施した「Linux サーバー OS 利用実態調査(2025 年末頃の最新データ)」によると、CentOS の EOL 問題が出てきた辺りから CentOS の使用率が大幅に下がっており、移行先として Red Hat Enterprise Linux(RHEL) や Rocky Linux が選択肢となっています。一方で 2025 年末の段階でも CentOS が 20% 残っており、各社が次の移行先を検討・選択している状態になっています。
ここで 2026 年のゴールデンウイークの辺りに問題となった、CopyFail・DirtyFrag などの脆弱性が挙げられましたが、サイバートラストでサポートしている「Alma Linux」では即日〜数日以内に修正パッチを公開しており、結果として RHEL よりも早く修正パッチを出せる体制になっています。

講演資料から抜粋
ここで話は変わりまして、2026 年 6 月現在で何が問題になっているかということが取り上げられました。昨今の AI 需要から半導体不足や流通の影響により「サーバーを購入しても届かない」と言う事態になっていることを上げています。この問題に関してはどこの企業でも同じ状況で、当初計画していたシステムリプレースまでがずれ込む、と言う事態も発生しているそうです。
アナリストなどのコメントでもよく言われていますが、2027 年までにサーバー不足解消の目処はつかない、という見方が一般的になっており、その間はリプレースができずに EOL を迎えるシステムと言うのが多く出てきそうです。
しかし EOL を迎えたシステムを使い続けることで、以下のようなリスクがあります。
- 監査での指摘
- インシデント発生による社会的信頼の低下
- 脆弱性を狙ったサイバー攻撃の標的になる危険性
- 急なアップデートによる不具合対応のコスト増
これらを踏まえて、サイバートラストが提供する二つのサポートサービスが紹介されました。
- CentOS 延長サポート:EOL が終了した CentOS の延長サポート
- TuxCare ELS:より幅広く、OSS の延長サポート
3.2 ミドルウェア~アプリケーションの EOL 問題とその対応について(電算システム)
後半は、電算システム様から「SI の現場での生の声」を反映した講演となりました。
まず前半と同じく、サーバーの納品遅延と高騰の話が取り上げられました。この問題により、当初計画していたシステムリプレースを諦め、クラウドへの移行・システムの延命と言う措置が取られ始めているそうです。また 24x365 で動いている大規模システムが多く、リプレイス時に一気に入れ替えると言うことも難しいようです。
他にも、OSS ならではの問題として、サポート期間の短さ(早ければ 2 年ほどで切れてしまう)ということもリスクとなっています。
これらに加えて、昨今ではサイバーセキュリティリスクが激変しており、IPA のデータおよび実際の脆弱性の数の推移などを見せながら
- AI 利用によるサイバーリスクの台頭
- 規模を問わないランサムウェア被害
- 国内外の規制・評価制度の本格化
- 脆弱性(CVE)報告件数の急増
というリスクがあることを現場の肌感覚を交えて語っていました。
そのような背景から、サイバートラストの「TuxCare ELS」サービスの紹介となり、このような ELS による延命は「ゴールではなく、時間を取って腰を据えてバージョンアップなどに対処するための時間を買うもの」だと言うことをお話しされていました。
このサービスは既存の OS 環境やアプリケーションコードを壊さず、Maven/Gradle(Java)や Composer(PHP)などの参照先(向き先)を TuxCare に変更するだけで手軽に CVE 対応パッチを当て続けられる点が、SI ベンダー目線でも非常に強力なメリットです。
電算システムでは、サイバートラストと連携して調査・棚卸しから TuxCare 適用、延命中に実施される計画的な移行などをサポートするような支援プランを実現できるとのことでした。

講演資料から抜粋
本講演のオンデマンド配信はこちら
4. 仮想化基盤の転換期を乗り越える:NTT データと考える持続可能なインフラの選定基準とは
次の講演は、株式会社 NTT データの石崎 晃朗様による、仮想化基盤「Prossione Virtualization」のお話でした。
「Prossione Virtualization」は NTT データが提供する仮想化基盤であり、OSS の KVM が元になっています。こちらの仮想化基盤の特徴・及びデモンストレーションがセッション内で行われました。
特に近年では「ブロードコムショック(VMware ショック)」と言われている、VMware のライセンス形態の変更が業界にさまざまな影響を及ぼしています。これは、2023 年 11 月に Broadcom による VMware 買収が終了した後に、ライセンス体系・販売方針が大きく変わり、企業が運用方針やコスト計画の見直しを迫られている状況を指す言葉です。
日経クロステックにも載っていますが、2024 年には一時的に OEM 廃止となり日本国内でのハードウェアバンドルができなくなるなど混乱が起きていました。OEM などの問題は一部ベンダに提供が続行されるなどとなりましたが、この混乱の余波は長く続いており、単純に金額やライセンスだけの問題ではなく、仮想化基盤という長期にわたって使用しなくてはならないシステムが、このようにメーカーの買収などでライセンスやサポートなども大きく変化してしまう可能性がある、という点が再認識され「VMware だけに依存していた場合にはリスクになるのではないか?」という見直しがされてきています。
さらにライセンス体系が変わりやすいという状況から、基盤システムを構築する上での ROI の見積もりも非常に厳しくなっています。このような背景から、VMware 以外の仮想化基盤に乗り換えよう、という動きが加速しています。
仮想化基盤を乗り換える際には、顧客にとっては
- 運用持続性
- インフラ基盤になるため、長期間のサポートを提供してもらう必要があるが、それを満たせるのか
- 移行実現性
- 移行にどれくらいのコストがかかるのか
- 予見性
- システム更改の投資計画はどうなるのか
などが選定の要件になってきます。
NTT データの提供する「Prossione Virtualization」はこの点で
- 運用持続性
- 99.999%(ファイブナイン)の高可用構成を実現し、LTS 版では 8 年間のサポートを提供。脆弱性に関しても対応
- 移行実現性
- 移行機能(PV-V2V)を提供
- 予見性
- 投資計画に関しては、8 年間の長期サポートを提供しているため ROI が計算し易い
という点が強みになっているということでした。
「Prossione Virtualization」は VMware よりも機能はシンプルになっていますが、VMware を運用していた方には理解できると思いますが、VMware には高機能すぎてユーザーによってはほぼ使わないような機能が多く実装されていましたので、現実的に仮想化基盤を運用する、と言うシチュエーションではこの「Prossione Virtualization」程度の機能があれば充分だと感じられます。
また、昨年(2025 年)7 月にバージョン 1.0 がリリースされて以降、この 1 年間トラブルフリーで安定稼働を続けており、すでに金融系システムや大規模プラットフォームでの適用・開発を含め、数百件もの具体的な移行相談が寄せられているとのことです。
「Prossione Virtualization」は下記から構成されています。
- Prossione Virtualization Manager(PVM)
- GUI による管理
- API でも管理可能
- Live Migration 機能も実装
- PVHA
- HA( 高可用性 ) を実現
- GUI で簡単に設定が可能
- PVOS
- Linux ベース。仮想化基盤を提供
- KVM の能力を十分に発揮できるように作られた OS
これらは一般的に入手可能なハードウェアや NW 機器で構成が可能です。そのため、特別にハードウェアを入手するという手間が不要になります。
さらに「仮想マシン移行支援 (PV-V2V)」と言う移行支援機能を持っています。
これには
- 移行手順の大部分を自動化し、手作業を最小化
- 移行元・移行先の専門知識に依存しない移行作業を実現
といった特長があり、結果として
- 移行作業工数を約 6 割削減
- 手作業削減による誤操作・設定ミスのリスク低減
- 一般的な技術レベルのシステム運用者でも実行可能
と、実際に VMware から移行を考えている企業にとってはかなり現実的なツールとなっています。これらの説明の後にインストール、および PV-V2V、PVM のデモが紹介されました。

講演資料から抜粋
ちなみに筆者は過去に Oracle 社で OraclVM を SE として担当していたことがあり、仮想マシンの移行には想像するよりも手間がかかる、ということを経験しています。単純に VM の移行でも、移行手順をきちんと決めておかないと移行に失敗するケースも出てきますので、その辺りを支援してくれるツールは現場レベルでは非常に有益だと思います。
本講演のオンデマンド配信はこちら
この記事の著者
OSS/ セキュリティ / 脅威インテリジェンスエバンジェリスト
面 和毅
セミナー事務局より
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サイバートラスト セミナー事務局
ctj-seminar@cybertrust.co.jp





