2022 年 01 月 18 日
MIRACLE ZBX 6.0 からデータベースのバージョンに制約があります
MIRACLE ZBX 6.0 から、一定のバージョン未満のデータベースを使うとサーバおよびプロキシサービスが起動できません。MIRACLE ZBX 5.0 以降からアップグレードする場合はデータベースのアップグレードも求められます。
Zabbix におけるデータベースのバージョンについて
Zabbix 6.0.0 から、各データベース(DB)の EOL を考慮して DB ごとの最小サポートバージョンが定義されました(ZBXNEXT-6898)。Zabbix の LTS リリースがサポートされているあいだに DB の EOL を迎えてしまうのは望ましくない、という判断です。
もともと Zabbix が動作する DB のバージョンは最小と最大のものがそれぞれ定義されていました。最小バージョンを下回っている、あるいは最大バージョンを上回っているバージョンの DB を動かしている場合、サーバ/プロキシサービスは起動しません。
それに加え、6.0 では最小サポートバージョン未満の DB を動かしている場合デフォルトの設定のままではサーバ/プロキシサービスが起動しません。設定ファイルで AllowUnsupportedDBVersions オプションに 1 を設定する必要があります。
### Option: AllowUnsupportedDBVersions
# Allow server to work with unsupported database versions.
# 0 - do not allow
# 1 - allow
#
# Mandatory: no
# Default:
# AllowUnsupportedDBVersions=0
つまり 6.0 では DB のバージョンの制約がさらに強められたことになります。
2021 年 12 月 21 日時点で、Zabbix 6.0.0 における最小バージョン・最小サポートバージョン・最大バージョンは以下のとおりです。
DB | 最小バージョン | 最小サポートバージョン | 最大バージョン |
---|---|---|---|
MySQL | 5.7.28 | 8.0.x | 8.0.x |
MariaDB | 10.2.0 | 10.5.x | 10.6.x |
PostgreSQL | 10.9 | 13.x | 14.x |
MIRACLE ZBX におけるデータベースのバージョンについて
MIRACLE ZBX はおもに Red Hat Enterprise Linux をベースとした MIRACLE LINUX ならびにそれと互換性のある OS の上で動作させることを前提とした製品です。Zabbix の最小サポートバージョンのポリシーに加え、MIRACLE LINUX が提供する RPM パッケージのサポート期間も考慮した結果、MIRACLE ZBX 6.0 の最小サポートバージョンを全 OS 共通で以下のように決定します。
DB | 最小バージョン | 最小サポートバージョン | 最大バージョン |
---|---|---|---|
MySQL | 5.7.28 | 8.0.x | 8.0.x |
MariaDB | 10.2.0 | 10.3.x | 10.6.x |
PostgreSQL | 10.9 | 12.x | 14.x |
MIRACLE LINUX 8.x では MariaDB 10.3 系と PostgreSQL 12.0 系のパッケージは 2029 年 5 月までサポートされます(『MIRACLE LINUX 8 Asianux Inside - AppStream のサポート期限 』)。一方、MariaDB 10.5 系と PostgreSQL 13.0 系のパッケージは Red Hat によれば 2026 年 5 月までがサポート期間となっています(『Red Hat Enterprise Linux 8 Application Streams Life Cycle』)。
MIRACLE LINUX 7.x ではこの最小サポートバージョン以上の MariaDB と PostgreSQL をインストールするには Software Collections を使います。MariaDB 10.3 系の SCL パッケージは 2023 年 6 月まで、PostgreSQL 12.0 系の SCL パッケージは 2024 年 6 月までサポートされます。MIRACLE LINUX 7.x の SCL に関しては MariaDB 10.5 系と PostgreSQL 13.0 系のほうがサポート期間は長いですが、今後より長く使われていくのは MIRACLE LINUX 8.x 系と判断し最小サポートバージョンを 8.x 系と統一しています。
MIRACLE ZBX 6.0 における AllowUnsupportedDBVersions の扱いについて
2021 年 12 月 21 日現在、MIRACLE ZBX 6.0.0 はリリースされていませんが、AllowUnsupportedDBVersions が 1 に設定された状態のシステムはサポートの対象外とする予定です。
MIRACLE ZBX 5.0 から 6.0 へのアップグレードについて
DB のバージョンの制限が厳しくなった以上、MIRACLE ZBX 5.0 以前のバージョンから 6.0 へ移行するには DB のバージョンアップグレードが不可欠でしょう。MIRACLE ZBX 6.0 では MIRACLE LINUX 8 系以上の OS にのみサーバパッケージを提供する予定です。したがって次のような環境から 6.0 への移行をするときに DB のアップグレードが求められます。アップグレードの方針も明記しています。
OS | コンポーネント | DB | 方針 |
---|---|---|---|
MIRACLE LINUX 8.x | サーバ | MariaDB | mariadb 10.3 モジュールを使う。 |
PostgreSQL | postgresql 12.0 モジュールを使う。 | ||
プロキシ | MariaDB | mariadb 10.3 モジュールを使う。 | |
PostgreSQL | postgresql 12.0 モジュールを使う。 | ||
MIRACLE LINUX 7.x | プロキシ | MariaDB | SCL へ移行する。 |
PostgreSQL | SCL へ移行する。 | ||
Amazon Linux 2 | プロキシ | MariaDB | Extras Library から 10.5 を使う。 |
個別のアップグレード方法について本稿では解説しません。MIRACLE ZBX 6.0.0 リリース以降、あらためてサポートページにて上記それぞれのアップグレード手順を掲載する予定です。なおサポートページに掲載されたアップグレード手順は OS ベンダが提示するアップグレード手順と一部異なる可能性があります。
MIRACLE ZBX 5.0 以前をお使いで 6.0 へのアップグレードを検討している方は、DB のバージョンアップグレードを視野に入れ移行計画を立てるようお願いします。
まとめ
- MIRACLE ZBX 6.0 では MySQL 8.x/MariaDB 10.3.x/PostgreSQL 12.x 以上が必要です。
- MIRACLE ZBX 6.0 の最小サポートバージョンは Zabbix のものとは一部異なります。
- MIRACLE LINUX 8.x とその互換 OS では各モジュールストリームを有効にして要求バージョン以上のパッケージを入手できます。
- MIRACLE LINUX 7.x とその互換 OS では SCL パッケージとして要求バージョン以上のパッケージを入手できます。
- Amazon Linux 2 では Extras Library から要求バージョン以上のパッケージを入手できます。
- 具体的なアップグレード手順については MIRACLE ZBX 6.0.0 リリース後サポートページに掲載します。