2024 年 03 月 05 日
PQC(耐量子計算機暗号)対応 サーバー証明書の導入を支援するサポートツールの使い方
サーバー証明書 導入サポートツールが PQC に対応(ベータ版)
サイバートラストは、SSL/TLS サーバー証明書を導入・利用される方に役立つツールとして、証明書や CSR の解析を行う「 サーバー証明書 導入サポートツール 」を提供しています。このたび、実験・試行および PQC 理解の一助となることを目的として、PQC に対応したサポートツールのベータ版を提供開始しました。本ツールを使用することで、PQC 証明書についても、その内容(DN 情報、有効期間、シリアル番号、署名アルゴリズム等)を確認いただけます。
「PQC(耐量子計算機暗号)対応 TLS サーバー証明書 サポートツール(ベータ版)」
併せて、簡易にサポートツールがお試しできるよう、サンプルの CSR や証明書も同ページに用意しました。
例えば、サンプル証明書の "dilithium2.crt" (NIST が選定した署名用 PQC である dilithium を利用)をクリックして表示された以下のテキストをコピーし、
サポートツールの「サーバー証明書の内容確認」のページにペーストして「確認」ボタンを押すと、以下のような結果が得られ、署名アルゴリズムとして dilithium2 が利用されていることなどが確認できます。
サンプルとしては、参考として既存の(PQC ではない)rsa2048 や secp384r1 なども置いてあります。
PQC 利用により、CSR や 証明書のサイズがどのように変わるかも感じてみてください。
また、rsa3072_dilithium2 などとあるのは、異なる2つのアルゴリズムを利用した「コンポジット」のサンプルとなります。「コンポジット」については、過去のブログ 第3話: Open Quantum Safe (OQS) project と「ハイブリッド」証明書について をご参照ください。
なお、サポートツールや、サンプルの CSR・証明書の作成では、Open Quantum Safe(OQS) が提供する PQC 対応ライブラリ "liboqs" および PQC 対応 OpenSSL 3 provider "oqs-provider"(いずれも MIT ライセンス ※1,2)を使用しています(PQC 対応 TLS サーバー証明書 サポートツール のページにも同様の旨を記載しています)。
併せて、PQC 対応サポートツールは 2024 年 3 月現在、実験・試行および PQC 理解の一助となることを目的としたベータ版です。動作や各種仕様に対する準拠性、相互接続性、データの安全性、その他を保証するものではなく、機能・動作等が不十分または不安定なこと、予告なしに本サイトを変更や停止等することがあります。開発段階である現状をご理解いただきご試用ください。
サイバートラストは、お客様の PQC 移行や検証の一助になればと、情報発信や PQC 証明書サンプルのご提供 ※3 を行ってまいりましたが、今回のサポートツールの PQC 対応もその一環となります。引続きこれらを進め、安心・安全なデジタル社会の実現に貢献できればと考えております。
参照
- ※1
- https://github.com/open-quantum-safe/liboqs/blob/main/LICENSE.txt
- ※2
- https://github.com/open-quantum-safe/oqs-provider/blob/main/LICENSE.txt
- ※3
- https://www.cybertrust.co.jp/pqc/