商用組込み Linux: EMLinux のご紹介

はじめに

近年、スマートデバイスや IoT (Internet of Things) 家電の普及に伴い、組込み機器の需要が増えています。

組込み機器上でソフトウェアを動かすために欠かせないのが、組込み OS (Operating System) になります。その組込み OS の 1 つが、組込み Linux です。

本記事では、商用の組込み Linux の 1 つとして、サイバートラストが提供する EMLinux について紹介します。

そもそも組込み Linux とは？

従来、組込み機器の OS としては、以下の記事にあるように「リアルタイム OS 」が用いられてきました。

組込み Linux 選択のポイント～第 1 回：リアルタイム OS から Linux へ～

ところが、上記の記事にもあるように、組込み機器のハードウェアの性能が著しく向上したことにより、組込み機器でも PC やサーバーで用いるような汎用的な OS (Windows や Linux など) を動作させることが可能になりました。

特に、組込み機器向けの OS として注目を集めているのが、Linux になります。

Linux の特長には様々なものがありますが、他の OS と比較した場合、利用可能なソフトウェアが豊富であることが挙げられます。また、そのソフトウェアの多くを OSS (Open Source Software) ライセンスに基づいて自由に利用することができます。例えば、ある機能を実装する場合、その大部分をそれらのソフトウェアで実装することができれば、本当に必要となる機能 (その組込み機器の特長となる機能) の開発にリソースを集中させることが可能となります。

組込み Linux は、上記のような Linux の特長を活かしつつ、組込み機器向けにカスタマイズされた (必要最低限のソフトウェアのインストールなど) OS になります。

EMLinux とは？

そんな組込み Linux の1つが、EMLinux です。EMLinux は、サイバートラストが開発およびサポートを提供する商用の組込み Linux です。

EMLinux には、3 つの特長があります。

【特長 1】最長 10 年の超長期サポート
【特長 2】 1 つの契約で複数台のサポート
【特長 3】すぐに試せる

【特長 1】最長 10 年の超長期サポート

商用環境の場合、最も大切なのがサポートです。

Linux は自由に使用できる反面、ソフトウェアが起動しない、システムの動作が不安定、脆弱性が見つかったなどの問題が発生した場合、利用者自身にて問題を解決する必要があります。一方、商用 Linux では、それらの問題を解決するためのサポートを提供しています。特に、サイバートラストでは、Linux 開発者による質の高いサポートを提供しています。

また、EMLinux はリリースから最長で 10 年の超長期サポートを提供しています。2023 年 10 月にリリースされた EMLinux 3 系であれば、2033 年 1 月までサポートを提供しています。さらに、10 年以上の延長サポートを希望されるお客様のために、追加契約も用意しています。

加えて、サポート期間中はセキュリティアップデートを定期的に提供しており、お客様の環境を安全な状態に保つことが可能です。

【特長 2】 1 つの契約で複数台のサポート

EMLinux のサポートは、1 つの契約を複数台に適用することが可能です。また、利用者の人数制限もありません。

具体的には、以下の 3 条件が全て同一である場合、100 台でも 1,000 台でも、1 つの契約でサポートを受けることが可能です。

製品の SoC (System on a Chip)
製品の用途や適用分野
製品の担当部署

なお、既に EMLinux のサポートを契約されている場合、SoC や適用分野が異なる製品については、通常の価格よりも安くサポートを契約できるオプションも用意しています。

【特長 3】すぐに試せる

EMLinux が対応しているボードであれば、OS の作成後、すぐに動かすことが可能です。

また、一部の組込み Linux では、ソースコードからソフトウェアを作る (ビルドする) 方式のため OS の作成に数時間程度かかります。一方、EMLinux の場合、インターネット上に公開されているビルド済みのソフトウェア ^※1 も活用する方式のため、数分～数十分程度で OS を作成することができます。